Daily Archives: 2011年1月19日

解雇25(西濃シェンカー事件)

おはようございます。

さて、今日は、昨日に引き続き、休職期間満了後の措置に関する裁判例を見てみましょう。

西濃シェンカー事件(東京地裁平成22年3月18日・労判1011号73頁)

【事案の概要】

Y社は、航空運輸取扱業、海上運送取扱業等を営む会社である。

Xは、Y社との間で、担当すべき職種や業務を限定せず、期間の定めのない労働契約を締結した者である。

Xは、平成17年3月、自宅において、脳出血を発症し、その後遺症により右片麻痺となった。

Xは、Y社から、平成18年3月から1年間の休職を命じられた。そして、その後、休職期間に係る就業規則の規定の変更に伴い、Xに適用される休職期間が1年から1年6か月伸ばされた。

Xは、平成19年10月から、概ね週に3日の頻度でY社本社に出社し、1日に約2時間30分程度、人事部において作業に従事した。なお、Y社からXに対し、上記作業に従事したことに対する対価は支払われていない。

Y社は、Xに対し、平成20年10月、就業規則の規定に基づいて、休職の延長期間の満了日をもって退職となる旨を通知し、本件退職の取扱い後、その就労を拒否している。

これに対し、Xは、休職期間満了の前の平成19年10月に既に復職していた、本件退職扱いが労働契約上の信義則に違反するから無効であると主張して、労働契約上の地位確認と退職扱い後の賃金の支払いを求めた。

【裁判所の判断】

本件退職取扱いは、有効。

【判例のポイント】

1 本件作業従事は、Xのリハビリのための事実上の作業従事という域を出ないものであり、平成19年9月の休職期間満了時点で復職という取扱いがなされたとはいえない

2 Y社の本件休職期間満了後の取扱いは、休職期間を平成20年10月31日まで延長したものと捉えざるを得ないが、これは就業規則所定の解雇事由の適用を排除するという趣旨において、一種の解雇猶予措置と位置づけられるものであって、Y社が上記休職期間延長措置をとったこと自体を論難することはできず、また、本件退職取扱いの時点において、Xの片麻痺が従前の通常業務を遂行できる程度に回復していないことは明らかであり、Xから配置の現実的可能性がある具体的業務の指摘があったとも認められない等として、本件退職取扱いが労働契約上の信義則に反し、無効であるとはいえない。

3 仮に、Y社において、雇用労働者の数的状況が障害者雇用促進法43条の規定に反する状況にあったとしても、Y社が本件退職取扱いの時点で、Xに対し契約社員としての再雇用の道を開いていることからすれば、上記判断が左右されるものではない

4 XとY社との間の労働契約は、Xが就業規則が規定する「治癒」または「復職後ほどなく治癒することが見込まれる」場合に至らず、Y社がこれを認めることもなかったから、休職期間満了により終了している。

本件は、会社が、従業員にリハビリ出社をさせた上で、復職の可否を検討したものです。

リハビリ出社という方法自体を知っていても、具体的にどのように実施すればよいのかよくわからないという会社もあると思います。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。