競業避止義務12(フューチャーアーキテクト事件)

おはようございます。

さて、今日は、競業避止義務に関する裁判例を見てみましょう。

フューチャーアーキテクト事件(東京地裁平成21年1月19日・判時2049号135頁)

【事案の概要】

Y社は、企業経営・情報システムのコンサルティング業務、情報システムの設計・開発等を業とする会社である。

Xは、Y社に従業員として雇用されたが、約5年後、Y社から懲戒解雇された。

Y社とXとの間には、機密保持契約が締結されており、Xは、同契約に基づき、Y社の事業と競合し又はY社の利益と相反するいかなる事業活動にも従事、投資又は支援しない義務を負っていた。

Xは、Y社との雇用契約上の競業避止義務に違反して、Y社在職中に、Y社と競合するA社に出資し、その後、A社が株式会社に組織変更された際に株主となり、その後、A社の代表取締役に就任した。

A社は、Y社の顧客Z社から継続的に業務を請け負った。

Y社は、これにより、Y社がZ社から業務を受注する機会を喪失させたと主張し、Xに対し、損害賠償を請求した。

【裁判所の判断】

本件競業避止義務に関する合意は、有効である。

【判例のポイント】

1 Xは、Y社在職中、A社に出資し、その後、A社が株主会社に組織変更された際にはA社の株主となり、その後、A社の代表取締役に就任し、現在も、発行済み株式200株のうち10株を保有していること、加えて、Y社は、企業経営・情報システムのコンサルティング業務、情報システムの設計・開発等を業とする会社であること、A社は、Y社からABプロジェクトの業務の一部を受託するなどY社との取引関係を有していたこと、A社は、本件各取引により、ソフトウェアプログラムの開発業務やシステムのメンテナンス業務を請け負っていたこと、Y社は、ABプロジェクト以外において開発したシステムのメンテナンス業務を請け負うこともあったことからすれば、A社は、Y社の事業と競合し、Y社の利益と相反する事業活動を行っていたものであって、Xは、A社の事業活動に従事し、A社に等し、支援していたと認められる。
そうすると、Xは、Y社の事業と競合し、Y社の利益と相反する事業活動に従事し、投資、支援したものと認められ、本件競業避止義務に違反したものというべきである

2 Xの本件競業避止義務違反の結果、Y社が本件各取引をZ社から受注する機械を喪失したと認めることはできないから、Y社のXに対する競業避止義務違反に基づく損害賠償請求は、理由がない

本件は、在職中の従業員の競業避止義務違反が問題となっています。

競業避止義務違反であることについては、あまり異論がないところだと思います。

本件のポイントは、競業避止義務違反を認めつつも、損害の立証がないとして、その部分についてのY社の請求を棄却した点です。
(なお、本件は、別の理由で、Xに対し、約880万円の支払いを命じています。)

競業避止義務違反による損害賠償請求は、その損害の立証が困難です。

会社側としては、この裁判例を参考にし、事前に適切な対策をとるべきです。

対策方法については、顧問弁護士に質問してみてください。

競業避止義務違反が認められたけれど、損害賠償請求は棄却された、では意味がありません。